SBF氏が語るFTX破綻の真相「詐欺ではない、債務超過でもなかった」

FTX破綻後、ビットコイン価格が上昇する様子を牢屋の中で頭を抱えて眺める男性
takayuki
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2022年11月に破綻した仮想通貨取引所FTXの創業者、サム・バンクマン=フリード(SBF)氏が10月31日、自身の見解をまとめた14ページの文書を公開しました。

その中で同氏は、「FTXは一度も債務超過に陥っていなかった」と強調し、改めて自身の潔白を主張しています。

本ページでは、SBF氏の主張内容を紐解きつつ、なぜ今、3年前の事件が再び注目されているのか、その背景を探っていきたいと思います。

SBF氏の主張:FTXは債務超過ではなかった|一時的流動性危機

SBF氏によると、破綻時点のFTXは顧客全員の引き出しに対応できる約250億ドルの資産を保有しており、経営破綻の原因は「資産不足ではなく一時的な流動性危機だった」と説明しています。

さらに同氏は、破産手続きを担当した弁護士団が意図的に返済を遅らせ、結果的に顧客に不必要な損失を与えたと非難。「FTXの崩壊は詐欺でも経営不振でもなく、誤解された一時的な資金繰りの問題だ」と主張しています。

しかし、当時の実態を振り返ると、破綻直前のFTXでは関連会社アラメダ・リサーチとの間で顧客資金が混在して運用されていたことが明らかになり、内部では数十億ドル規模の資金不足が発生していました。

この不透明な経営体制により市場の信頼は急速に失われ、出金要請が殺到。資金流出が止まらない中で新たな資金調達にも失敗し、経営継続は不可能な状態に追い込まれたのです。

最盛期のFTXは700万人以上の顧客を抱え、約200億ドルの資産を運用していましたが、2022年11月の出金ラッシュで資金繰りが完全に崩壊し、最終的に約80億ドルの負債を残して破産に至りました。

破綻から2年が経過した今も、顧客資産の返還はすべて完了していません。

ビットコイン、当時の6.5倍に上昇|ドル換算返済の不公平性

SBF氏の主張が再び注目されている背景には、現在の仮想通貨市場の好調があります。

ビットコイン(BTC)は、FTX破綻当時の2022年11月には約1万7,000ドルでしたが、2025年11月1日時点において、当時の6.5倍に相当する1BTC=11万ドル前後で推移しています。

そのため、FTXの返済が「2022年11月時点のドル換算」で行われることに対して、不満を抱く顧客も多く、BTC価格の上昇による利益を得られないことが、SBF氏の主張を後押ししている面もあります。

SBF氏は「もし破産申請がなければ、顧客は市場回復で損失を取り戻せた」と語りますが、この主張はあくまで現在の価格上昇を前提にした結果論であり、当時の経営実態を考えれば、FTXがあのまま立ち直るのは極めて難しかったというのが専門家の見解です。

それでも、この一件が示した「ドル換算返済の不公平性」は、仮想通貨時代の破産処理の難しさを浮き彫りにしました。

今後、FTX破綻事件は単なるスキャンダルではなく、デジタル時代の法整備と投資家保護を考える重要な教訓として語り継がれていくのかもしれません。

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