ビットコイン年末25万ドル予想はどこへ?FOMOを煽ったトム・リー氏、沈黙…
ビットコイン価格は年末に25万ドルに達すると強気予測をしていたトム・リー氏が、年末価格予想について大きな方針転換を見せています。
この手のひら返しとも言える姿勢に、憤りを覚える投資家は少なくないかもしれません。
強気相場が続いていた時期、リー氏は年末25万ドル到達と繰り返し発言していました。
しかし、ビットコインが10万ドルを割り込む急落後のインタビューで、彼は自身が繰り返した25万ドル予測には言及せず、年末予想を「10万ドル台」と大幅に引き下げました。
ビットコイン暴落後にしれっと予想修正、「当たらない予想」の功罪
トム・リー氏はこれまでも、ビットコインの長期的上昇を強く主張してきました。
ビットコイン価格が3,000ドル台だった2018年には「年末25,000ドル」、2021年の強気相場では「年内20万ドル」、そして過去最高値を更新した2025年は「年末25万ドル」という極めて強気な予測を示しています。
そして重要なことは、これらの予想はいずれも実現していないということ。
特に2025年、ビットコインが10万ドル超を維持していた局面では、リー氏の「25万ドル」発言が市場心理を大きく刺激し、FOMO(取り残される恐怖)を加速させました。
メディア露出が多い同氏の発言は一般投資家にも強い影響力を持ち、強気ムードに勢いを与えたことは確かです。
しかし、ビットコインが急落し10万ドルを割り込むと、リー氏は25万ドルへの言及を避けるようになり、「年末は10万ドル台」と現実的な予想に切り替えました。
この態度に対し、「暴落の最中に予想を引き下げるのは後出しジャンケンだ」「期待だけ煽って責任を取らない」といった批判が噴出しています。
この急なトーンダウンに対し、煽りに煽った挙句、何も責任を取ることがない著名アナリストの姿勢に批判の声が噴出しています。
投機化した仮想通貨市場、そこに当初の理想は存在しない…
今回の一連の騒動は、強気アナリストの一言がどれほど市場心理を揺さぶり、個人投資家の運命を左右してしまうのかを改めて示したケースです。
トム・リー氏の25万ドル予想が暴落の原因だったわけではありません。しかし、その極端な強気発言に駆られて高値で買い増しを行った直後に急落し、大きな損失を抱えた投資家も多いでしょう。
こうした現実を目の当たりにすると、私たち一般の投資家は、「自分たちは結局、巨大な投機ゲームの駒に過ぎなかったのではないか」という虚しさを覚えます。
もちろん投資である以上、どんな結果になっても最終的には自己責任という理屈は変わりません。しかし、それでも割り切れない複雑な感情が残るのも自然なこと。
そもそもビットコインは、中央集権的な金融構造からの脱却、分散化、金融アクセスの民主化といった理想を掲げて誕生した存在でした。従来の金融システムでは得られなかった自由と公平をもたらすというビジョンに、多くの人が魅力を感じたはずです。
ところが現在の市場を見渡すと、その理想はいつの間にか霞み、価格の乱高下と誰がより巧みに煽れるかによる情報戦が中心になっているのが現状です。
強気予想は注目を集めるための道具となり、投資家の期待や不安はクリックと話題性によって消費され、相場は短期的な思惑で上下を繰り返しています。
実態は、合法的なマネーゲームの色合いが濃く、より大きな資本と影響力を持つ側が弱者から資金を吸い上げる構図さえ見え隠れします。
こうした構造が固定化されればされるほど、本来目指していたはずの「民主化された金融」は遠ざかっていくばかり。
このような市場環境の中で、個人投資家は「何を信じればよいのか」という根源的な問いと向き合わざるを得ません。
ビットコインの未来には依然として可能性が残されていますが、その価値を見極めるためには、派手な強気予測や過熱した情報に流されず、自分自身の基準と判断力を持つ姿勢が求められます。
