米中貿易交渉再開で市場が回復ムード、ビットコイン上昇に追い風か?
2025年10月10日、ドナルド・トランプ米大統領が「中国からの輸入品に100%の関税を課す」と発言したことを受け、市場は一気にリスク回避モードへと傾きました。
これを受け、ビットコインは急落し、一時103,000ドル前後まで下落しました。
急激な値動きにより、世界全体で30万人を超えるロングポジションが強制ロスカットされ、わずか24時間で約1,800億円相当が市場から消失したとも報じられています。
その後、10月18日には新たな動きがありました。米国と中国が「来週中に新たな貿易交渉を実施する」ことで合意したとのニュースが伝わり、市場は再び神経質な反応を見せています。
中国の何立峰(He Lifeng)副首相とスコット・ベセント米財務長官が電話会談を行い、「率直かつ建設的な意見交換を行った」と発表。両国は「可能な限り早期に協議を再開する」ことで一致したとされています。
もっとも、トランプ大統領本人からこの件に関する公式声明はまだなく、市場は静観姿勢を保ったまま。ビットコイン相場も方向感を欠き、ほぼ横ばいで推移しています。

トランプ発言でどう動く?ビットコイン今後のシナリオ
今回の貿易協議再開の合意は、景気悪化を防ぐ狙いがあるとみられ、市場では安堵感が広がっています。ビットコインが10万ドル台を維持できたことも、今後の回復、さらには年末に向けた強気相場が戻ってくる期待が高まっています。
ただし、トランプ大統領の発言一つで再び流れが変わる可能性がある点には要注意。
実際、トランプ大統領が同時に「APEC首脳会議での習近平主席との会談を中止する可能性」に言及している点から、米中関係は依然として緊張状態にあります。
ここでは、今後想定される3つのシナリオを整理します。
シナリオ①
交渉が前向きに進展し、市場が「リスクオン」へ転換
もし来週の米中協議が建設的に進み、トランプ大統領が「関税の一部緩和」や「追加制裁の見送り」に言及した場合、リスク回避ムードは後退し、株式・為替・仮想通貨すべてで買い戻しが進む展開が予想されます。
この場合、ビットコインは短期的な底打ちから反発する可能性が高く、チャート上では108,000ドル(1,700万円)付近までの反発する可能性があるでしょう。
ただし、200日移動平均線を明確に回復できるかがトレンド転換の分岐点となります。
シナリオ②
トランプ大統領が再び強硬姿勢を示し、リスク回避が再燃
一方で、トランプ氏が中国に対して強硬発言を繰り返した場合、市場は再び不安定化し、ドル高・株安・仮想通貨安のリスクオフ展開に戻る恐れがあります。
この場合、ビットコインは200日線を明確に割り込み、約94,000ドル(約1500万円)を目指して下落する展開が予想されます。特に、ローソク足の実体が200日線を下抜けるとテクニカル的な売り圧力が強まり、短期的な急落の可能性にも警戒が必要です。
シナリオ③
交渉長期化で「不安定な保ち合い」へ
最も現実的なのは、両国の交渉が継続しつつも明確な合意に至らないパターンです。トランプ大統領の発言が日々揺れ動く中で、市場は神経質なレンジ相場に陥るでしょう。
この場合、ビットコインは約103,000〜113,000ドル(1,550〜1,700万円)のレンジで方向感を欠く展開が予想されます。トレーダーの間では「次のトランプ発言を待つムード」が強まり、ボラティリティ(価格変動幅)は引き続き高止まりする見通しです。
金(ゴールド)との関係性|安全資産の主役交代なるか
トランプ大統領の発言をきっかけに市場が揺れ動く中で、もう一つ注目すべき視点があります。それは「資金はどこへ避難するのか」という点です。
現在、ゴールド価格が高値圏で推移していますが、もしここから調整に転じるような展開となれば、その反動としてビットコインが新たな“安全資産”として買われる動きが強まる可能性があります。
実際、過去の相場を振り返ると、金価格の下落とビットコインの上昇が逆相関のように入れ替わる現象が何度も確認されています。
こうした背景から、機関投資家の間では「ビットコインが再び強気相場を形成する」との見方が強まりつつあります。
特に、仮想通貨市場ではデジタル資産を長期保有する“ロングポジション”の構築が加速しており、大口投資家による資金流入が再び増えているとの報告も出ています。
また、ゴールドが利上げ局面やドル高局面で売られやすい資産であることも見逃せません。
金からの資金流出が起きれば、その一部がビットコインに向かう可能性があり、結果として「金が売られ、ビットコインが買われる」という資金の循環構造が再び形成されることも考えられます。
こうした資金移動が現実化すれば、ビットコインは再びリスク回避の受け皿として、ゴールドに変わる「代替的な安全資産」としての地位を固める可能性があるでしょう。

