ビットコイン急落で「95,000ドル底値」論が拡大、分析企業は追加下落に警戒
2025年11月16日午後9時のビットコイン価格は、1BTC=95,800ドル前後で推移しています。
市場全体に悲観ムードが漂う一方で、多くの投資家が現在の価格水準を「底値」とみなす風潮が広がっています。
しかし、仮想通貨分析プラットフォームのSantiment(サンティメント)は、この「現在価格が底値とする風潮」にこそ注意すべきだと警鐘を鳴らしています。
SNSで広がる「95,000ドルが底値」論に警戒
ビットコインを巡るSNS活動が急増しており、ソーシャルドミナンス(ビットコイン関連のSNS言及量)は42%を超える水準に達しています。
ただし、この関心の高まりとは裏腹に投稿内容の多くは悲観的で、ポジティブとネガティブの比率は3か月ぶりの低水準に落ち込んでいます。
特に、「押し目買い」を示す言及量は初期下落時の1.27%から0.65%へ半減しており、市場が不安心理に傾き、下落局面を積極的に拾おうとする動きが弱まっていることが分かります。
サンティメントは、こうしたセンチメント悪化が進む一方で、SNS上で「95,000ドルが底値」という楽観的な見方が広がっている点を警戒しています。
歴史的に見ると、市場参加者が一致して底値を語る局面で実際に反転が起きることはまれで、その後に追加下落が発生するケースが多く観測されています。
一方で、悲観ムードが極端に強まり、誰もビットコインの底値に言及しなくなる局面こそ、本当の底打ちや反発が起きやすい傾向があります。
現在の市場心理を踏まえると、早期の反発を期待するのはまだ慎重であるべき状況だと言えます。
オンチェーン分析:大口投資家と個人投資家の投資行動が逆転
サンティメントの分析では、10〜10,000BTCを保有する大口投資家(通称クジラ)が保有量を減らしており、今回の急落相場で利益確定や撤退が進んでいると指摘しています。
一方で、個人投資家のビットコイン保有量は増加傾向にあり、「大口が売り、小口が買う」という典型的な天井圏(価格が下落し始める局面)の構図が見られています。
さらに、市場価値と実現価値を比較するMVRV比率はマイナス10%まで低下し、短期保有者の含み損が拡大しています。
これは過去8か月で最も損失が大きい局面で、相場の苦しい状況を示しています。
加えて、ビットコインETFからは約10億ドルの資金流出が発生し、マイケル・セイラー氏への批判的な声も増えてきており、市場センチメントの悪化を裏付ける材料が重なっています。
9万5000ドルは本当に底値?さらなる恐怖が投資家を襲う可能性
現在の9万5,000ドル付近は、テクニカル分析で多くの投資家が重視するフィボナッチ・リトレースメントの61.8%水準と重なっており、この点を根拠に「底値」とみなす見方も広がっています。
» BTCチャート分析|フィボナッチ61.8%に到達、95,000ドルが分岐点
実際、この価格帯は過去の調整局面でも重要な支持帯として機能しており、割安水準を示すデータも多く存在します。
しかしサンティメントは、市場参加者の間で底値認識のコンセンサスが強まる局面こそ、反転が起きにくいという歴史的傾向を強調し、早期の底打ち判断に注意を促しています。
つまり、9万5,000ドルが本当の底値とは限らず、追加下落に備える必要があるとのこと。
同社は、真の底値は「投資家が極端な恐怖に陥り、底値という言葉すら語られなくなった時」に形成される可能性が高いと指摘しています。

